牛肉を見せ合う主婦。「わたしだけついてない…」と落ち込むが、そこに名探偵・邦衛が登場する。帽子を一瞬深くかぶり直す仕草に役者邦衛を見いだした人も多いのでは。(1994年10月放映)
「なんでそんなところにシールをつけるんだ?」のツッ込みは、重箱の隅をつつくようなものだろう。予定調和の展開なんてクソくらえ。すべての物語性を超越したCMだ。探偵めいた邦衛が登場し、「奥さん、ついてますよ」と指摘する。邦衛は何者なのかだとか、シールを背中につけることによって商品価値にいったいどんな付加価値がつくのかだとか、ストーリーの細部をつつけばきりがない。が、そんな矛盾すらも強引にまとめて上げている。このムチャクチャっぷりはけっして不快ではない。だからこそ、思わず何度も見たくなってしまうCMだ。
ミスターX氏(みすたーえっくすし)
「空想は頭の肥やしです、Byナムコ」の名言に惹かれてCM批評業界入り。この名言を超えるCMは生まれないだろうと思っていたら、邦衛大正漢方があっさりと記録更新。CMに絶対はないことを痛感する。
次回は、「物語の続きを描く英雄がいる!」
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