田中邦衛研究所 CMアンソロジー

CMアンソロジー大正漢方胃腸薬

食べる前に飲む! 伝説は衝撃とともに始まった …1989年年末

その瞬間、食べていた餅がポトリと落ちた。まさに衝撃、電撃の30秒。新馬戦。それまで演じてきた田中邦衛の奥深い役柄血統から、ただならぬCMになるのでは…と噂には挙がっていた。だが、あくまでも噂。実際の内容は、オンエアされてみなければわからない。画面が切り替わった。CMがスタートした。目は画面に釘付けとなった。「何かが始まる…」。見た者全員がそう予感した。

大川慶次郎の神様の視線

CM界を震撼させたファーストインパクト!

まさに衝撃でしたねぇ。黄色い背景に次々に現れる人・人・人。めまぐるしく画面が切り替わり、ラップタイムを計ってみたんですがねぇ。あまりにも展開が早すぎて計測不能でした。普通、ペースが速すぎると最後はズブズブになって、CMの内容にオチもカタルシスもへったくれもなくなってしまうのですが、最後に中央で邦衛君のステップ。二の脚を使ってさらにひと伸びしてるんですから驚きです。もうこれは馬なりで他のCMを5馬身、いや10馬身はちぎってます。邦衛君の血統に漢方のCMイメージがうまくインブリードして、爆発的なCMを生み出したといっていいでしょう。次回のオンエアが楽しみです。

著者

大ノ川慶次郎(おおのかわ けいじろう)

卓越したCM眼を持つ神様。これまでCMオチ予想パーフェクトを幾度となく達成してきた。前半・中盤・上がり3ハロンの「展開」理論で、難解なCMをズバリ読み解く。

展開

展開

1989年の出来事

1/7…天皇崩御、昭和から平成へ

・一杯のかけそばブーム

1/20…米大統領にジョージ・ブッシュ就任

1/23…ダリ死亡

・リクルート事件で辞任&逮捕議員続出

2/9…手塚治虫死亡

2/11…「今田勇子」名で犯行声明

3/30…女子高校生コンクリート詰め殺人事件

・竹下内閣支持率9%

4/1…消費税3%開始

4/11…川崎市の竹藪で2億円

・天安門事件

・東欧の激動

5/15…朝日新聞サンゴ礁事件発覚

・宇野内閣発足→女性スキャンダル→辞任

6/3…ホメイニ死亡

6/24…美空ひばり死亡

7/24…スポーツ平和党

8/2…東証株3万5000円突破

8/10…宮崎勤少女殺しを自供

9/7…東京・神奈川の地価下落

10/14…田中角栄引退表明

10/17…サンフランシスコ大地震

11/4…東ベルリンで100万人デモ

11/6…松田優作死亡

・プラハの春

・坂本弁護士一家失踪事件

12/20…米軍パナマ侵攻

・ベルリンの壁崩壊

12/29…東証株3万8915円の最高値