田中邦衛研究所 CMアンソロジー

CMアンソロジー大正漢方胃腸薬

食べる前に飲む! 想像を超える物語は始まっている …1990年6月

年明け2戦目。太陽が照りつける夏場のダート戦に邦衛は参戦した。白いパラソルが眩しい。この時期の海辺のダートは乾燥して、時計がかかる馬場。しかもパラソルの重い斤量を背負ってレースに、不安はあった。だが邦衛は、危なげない展開で存在感を十分に示した。

CMリレー寸評

夏場のダートを圧勝!この強さは化け物だ!

1990年。叩き2戦目となった今回のCM。夏場のダート戦で邦衛は、白いパラソルの斤量を背負わされた。1キロの斤量負担で0.2インチの画面占有差がでることから換算したら、圧倒的なハンデ差を背負わされたことになる。しかもこの時期のダートは乾燥した馬場。脚抜きが悪く、時計がかかりやすい。昨年の暮れに見せたあの軽快なステップで存在感を見せるのはまず不可能だ。この圧倒的不利な状況で、邦衛はどうやって存在感を示すのだろう。そう思いCMを見つめていた。

中盤。「小さな胃袋にいつもいつも負担ばっかりかけて!」と視聴者への一喝が入る。いわゆる一般的な視聴者への警鐘セリフである。これを見て不安がよぎった。「どうなんだ? 一般論で商品をPRするだけなら、ただのタレントCMと同じではないか? やはり斤量と乾燥したダート。邦衛らしさが封じ込められたのか…」。が、その瞬間だった。矢のように放った「ゴメン」のセリフ。それまで「海がきれいだなぁ」とか「パラソルが白くて大きいなぁ」とか、先行していた視聴者のCM印象は、あっという間に邦衛の佇まいに抜き去られてしまったのだ。

斤量を背負わされ、なおかつ舞台を海辺で撮影したCMのタレント成績は【0 0 0 92(クニ)】。1着はおろか、CM閲覧対象にすらなっていない。このデータだけ見ても、邦衛CMの凄さが推し知れる。この時点で、邦衛漢方CMは他に例を見ない化け物と断言してしまってもいいだろう。

著者

井崎脩五郎太(いさき しゅうごろうた)

型破りのデータを駆使したCM予想で人気を博す。『スーパーCM』でレギュラー解説を務めるほか、雑誌連載など多数。「邦衛漢方CMに単勝1000万!」は今なお語り継がれる名言である。

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