田中邦衛研究所 CMアンソロジー

CMアンソロジー大正漢方胃腸薬

食べる前に飲む! 伝説のCMを語る序章 …1991年9月

クラシックへ向けて最終追い切りを木陰で行った邦衛。終始リラックスした感じのCMに仕上げてきた。途中で飲む水がとてもおいしそう。途中で出てくるリスが、癒し感をさらに高めている。海辺での単走。川辺でのナンバー1宣言。そしてせせらぎの中でのクールダウン。伝説のCMへの幕がおろされた。

CMリレー寸評

いざ暮れの大目標へ!

単走での追い切りですが毛づやがいいですね。今年は海、川と各地を転戦してきましたから馬体減りは大丈夫かと心配してたんですけど、カイバ食いもいいようですね。CM開始早々で見せた水分補給を見る限り、馬体はもしかしたら前走よりもプラス体重でのぞめるのではないでしょうか。気性も落ち着いていて好感が持てます。昨年とくらべてですか? 私の見方では馬体がふっくらとしていて状態に関しては文句なしといった感じでしょうね。底を見せていないので、まだまだ成長しそうな感じです。

著者

吉田均(よし たひと)

東京都出身。CM批評創刊と同時にスタッフに加わり、足かけ11年にわたって「本紙CM予想」を担当。大胆なCMオチ予想から「攻めの吉」の異名をとる。

展開

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止まり木ベーブルース(執筆:塩見崎利郎)

1ヵ月前。飲み屋にて。

「邦衛の魅力っていうのはさ」と健坊。
熱い議論に触発されたのか、前でお酌をしていた
飲み屋の女将・智恵子がオレ達の話しに割って入ってきた。
「いい年した大人が、なによ邦衛、邦衛って」
健坊も負けてはいない。
「邦衛こそ、総理大臣です!」

それなりに酒は入っていた。智恵子が反論する。
「なによ、あんなへんちくりんに尖った口。タレ目。
私は邦衛よりも断然キムタクが好き」
智恵子のうっとりとした表情にムッとした健坊。
いつにもまして智恵子に食いかかる。
「キムタクがなんだい! 所詮キムタクは『男』と書いて男。
その点、邦衛の男は『漢』と書いて『おとこ』と読む男じゃい!」

実は健坊、智恵子に惚れていたのである。

その健坊を前に智恵子、
「私、キムタクなら私のオパーイちゅぱちゅぱ吸われてもいいわ」
と発言。
これにはさすがの健坊もキレた。

「オレは女将さん、あんたが好きなんだ!」
なんと、勢いで告白してしまったのである。
面食らったのは女将の智恵子だ。
私は2人の光景を、水割りを飲みながら眺めていた。

「ちょっとあんた、あんたの舎弟でしょ。
笑ってないでなんとか言ってよ」
と智恵子。
私は、ますます笑いが止まらない。
「お似合いのカップルだよ」とようやくひと言だけ付け加えた。

先日、久しぶりに飲み屋に顔を出してみた。
どおりで見かけないと思ったら…。その健坊が厨房で料理をしていた。
あのあと、2人はなんともぎこちないデートを浅草でしたという。

「惚れているくせして女に何もできない。しゃべればドモる。
まるであん時のオレ、邦衛ッス」と健坊。

今年の冬は2人で金をためてハワイ旅行へ出かけるのが夢だとか。
「これ、祝儀にもらってくれ。邦衛漢方CMの単勝100万だ。
おそらく、10倍近くにはなるだろう」と健坊に手渡す。
怪訝そうな顔をして健坊、
「どう見ても、銀行レース。オッズ単勝1.0倍で元返しじゃないですか」
フフフと私は笑った。

「夫婦とワインはいっしょ。年月が経てば発酵して…」
と、私の言葉を遮るように健坊。
「分かりましたよ。分かりましたよ。夫婦仲良くやれってことでしょ。
兄貴のウンチクは長いから」

智恵子、私と健坊の話しに割って入った。
「分かってないのは、あんたよ」
どういうことなんだと健坊。
「この単勝100万、いまは100万でも数十年後にはマニアで高値に…」
さすが女将、話しがわかってる。
「そういうこと。ま、20年以上寝かせればの話しだがね…」

夫婦仲良くいつまでもお幸せに。