友情、努力、勝利。スポ根、ラブコメ、ファンタジー。半世紀を超え、数々のテーマがマンガを駆け抜けた。時に全共闘。時に600万部。時に社会現象。多くの読者を魅了し続けたマンガは今なお、一つのジャンルを確率しつづける。マンガとは何か? この難題はすべからく批評家を悩ませ、時に描き手をも縛りつける。マンガとは何か? 当コンテンツでは、真正面からこの命題にぶつかり、回答を探し求める。

sound:Charge!(Karl Jenkins)
 
   
 



タイトル
『ハイスパート4コマ漫画 走れ!裸一完』


あらすじ

【第1〜2話】
 主人公裸一完は、新入社員だ。いきなり自己紹介で「営業成績ぶっこ抜き10億円!」宣言をする。が、一完には営業の知識が皆無だった。アドバイスを先輩に求めるが、逆に暴力行為にあう。「自分はただの一般人。オレのベースは無職フリーター。コネもなければ縁故もゼロ。死ぬしかない…」と自殺を決意する。そこへ受付嬢がやってきて一完を厳しく叱咤。その後、2人はホテルへ……。
【第3〜5話】
 一完が肉体交渉を持った受付嬢は、会長の愛人だった。「平社員と自分がアナ兄弟だと知ったら、我が社の株は大暴落だ!」と体裁を気にする会長は、一完を殺し情報の隠蔽を謀ろうとする。が、営業成績ナンバー1の気持良人がそれを止める。その後、気持は一完をつかい社内顧客情報を漏洩。会長を追放し、ヤボードットコム社を乗っ取る。
【第6話】
 刑期を終え公園へとやって来た一完。そこでホームレスとなった会長と再会する。復讐に燃える会長は、今にもつぶれかけそうな高田工業の社長を自殺に追い込み、高田工業の会長へと就任。営業部隊筆頭に裸一完を抜擢する。
【第7〜10話】
 営業部隊を任された一完だったが、出社拒否に陥ってしまう。いくら会社を回れども一向に仕事がとれない。ふと前を向くと若者が乗った車が老人をひき殺そうとしていた。老人を助けた一完。実はその老人は若者に金を渡し、自分をひき殺してほしいと頼んでいた事実が発覚する。老人の名は樫村健治。かつて高度経済成長期に、営業の神様と祭り上げられ、仕事をバンバン取りまくった英雄であった。
【第11話〜】
 日本経済をダメにした営業三原則「ヨイショ」「女」「金」を生み出した樫村は自分の責任を感じ自殺しようとする。一完は樫村に、新営業理論の作成を提案。体に染みついたスケベ心をすべて排除し寺にこもる。
 それから1年が過ぎた。変態が集まる街・歌舞伎町に繰り出した一完は、外国人に30分2万円でドウデスカと誘われる。しかし気持ちはいたって平常心。自分自身の変化を感じ取り、新営業理論の実践へと向かう。
【第13話〜】
 契約書を手に会社へ戻った一完。待ち受けていたのは気持良人だった。気持は会長が経営する高田工業を買収。解雇通知書を一完に投げつける。鋭い刃物となった解雇通知書が一完の心臓へ! その時、会長が目の前に現れ、犠牲となって死ぬ。皮肉なことに、一完は再び気持の部下となって働くことに。屈辱的な営業が続く中、一完は無言で仕事を取りまくる。
【第17話〜】
 机に山積みとなった契約書を前に、気持はジレンマに陥る。一完を解雇したいが、すでに奴の営業ネットワークは絶大なもの。どうしたらいいのか…。そこへ小白泉総理大臣が現れ気持に参院選出馬を正式に要請する。小白泉総理は、全国規模となった一完のネットワークを逆に利用するのだ!と気持に迫る。が、なんと同時に一完も無所属で選挙出馬の決意を固めていた。
【第20話〜】
 落選した気持はその後自殺。一完は20年後大臣となるが…。医者曰く「彼はあまりにも思いやりばかりを大切にし、スケベ心を我慢しすぎた。その結果、精子の分泌液が脳内でビッグバンを起こしもはや手遅れ…」。病室で一完は言う。「あの人に会いたい…」。ドアが開き、かつて自分を励ました受付嬢と一完の子供が現れる。しかし、一完はすでに命を引き取っていた。(完)

 

大川の目
W氏さんがこのマンガを『ビッグコミックスピリッツ』に応募したのは、おそらく『スピリッツ』が年数回マネー&ビジネスネタ中心とした別冊を出しており、運良くばそこに食い込みこめればとの思いがあったからでしょう。ま、この絵柄に内容だと良くて努力賞1万円程度。途中、うのせけんいちの血が中途半端な形で混じっているのは、おそらく話が堅くなるのを防ごうとしたからでしょう。それにしてもいくらスローペース症候群を打破したいとの思いがあろうとも、4コマでこれだけのハイペースで果たしてどれだけの読者が付いてこられるか。そのあたりが疑問です。ドラマ、脚本は省略の文化。いかに効率的に話を省略しまとめ上げるかがポイントです。それは漫画でも同じこと。コマとコマとの間にある時間軸をうまくコントロールできている作品は、やはりテンポもイイし読み応えがある。そういう観点からいうと、内容や結果はともかく、W氏さんは今回省略という概念をいい形で勉強できたのではと思います(マンガ評論家・だいかわけいじろう)。

 

【結果速報】

無念、予選落ち!!


W氏のコメント
「自分では納得しているよ。ま、この作品レベルだったらこんなもんでしょ。これからだよ、これから。今年のオレはやるよ」

   
   
   
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