田中邦衛研究所





邦衛漢方シリーズ 1989年末～1995年放送「食べる前に飲む」という名言と共に一気にスターダムにのし上がる。1989年から90年前半を振り返ればまさに大変動の年だった。1989年はじめに昭和天皇が崩御。時代は平成となり、この年の11月にはベルリンの壁が取り壊される。日本の平均株価が3万円台を突破。まさにバブル全盛期だったが、1990年に入り円・株・債権のトリプル安に。バブルは崩壊。社会主義国・ソ連が消滅したのも90年代前半の事であった。ＣＭは時代を合わせ鏡だという。だとするならば邦衛漢方シリーズは、大変革の中から次なる価値観を求めていた当時の世界を色濃く反映したＣＭだと言えよう。邦衛の動きはまさに、明日を夢見た、そして今も夢見る日本人の希望そのものである。

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これぞ伝説。ひとつの仮定が確信に変わった！

【展開】
ファーストコンタクト→なぎら健壱の唄→
ビジネスマンなど多数→
邦衛を頂点をしたオールスター！→
セカンドインパクト！→フィニッシュ

<<<1990

国民は感謝した「日本人に生れてよかった」と
もしキミが日本人としてこの世に生まれてこなかったら、けっしてこのＣＭを見ることはなかったろう。もしキミが1990年、この時代に生まれてこなかったらこの瞬間に出会えなかったろう。もし世の中にテレビという文明が生まれてなかったら…。もし世界に邦衛という人間が生まれていなかったら…。すべてのことに感謝したい。そして、日本人として生まれてきたことに感謝したい。この日、私たちはひとつの伝説を見ることができたのだから。

ＣＭ評論家・大川の目

正直私もためらいました。あまりにも前年のファーストインパクトが強すぎましたからねぇ。あれを超えるＣＭは出ないのでは。そう危惧しました。しかしそんな心配は無用でした。いきなり邦衛くんのスタートダッシュ。立て続けに流れる映像。こんな爆弾ハイペースのＣＭだと後半まとまりがつかなくなるのが普通ですが、上がり３秒はもう脱帽ですね。「食べる前に飲む！」。これはもう他のＣＭよりも、頭二つ、いや２０馬身以上、邦衛くんは秀でています。このＣＭで、もはや誰もこれはフロックだと言う人はいないでしょう。１クールにひとつ出るか出ないかのＣＭです。もちろん次回のＣＭにも◎を打つつもりです。

だから年末年始といえば田中邦衛・ナンシー関

　待ってたぜ邦衛！
　９０年年末、またも田中邦衛の季節がやって来た。ま、１年間ずっと大正漢方胃腸薬のＣＭは田中邦衛がやってたんだけど。その中で、年に１度だけスパークする季節ということだ。しかし今回の邦衛はすごい。すごすぎる。皆さんもすでに御覧になったことと思うが、「食べる前に飲む！！」というフレーズの言い回し。もし、誰かが田中邦衛の物真似としてこの言い方を披露したなら、間髪入れずに「似てねえよ」「田中邦衛そんなんじゃねえよ」とポロクソだろう。それほど、今回の邦衛はスパークしている。
　ＣＭの中の有名タレントというのは、どうしてもタレント自ら自分自身のイメージや型をなぞって演じてしまうというところがある。最近では、チャルメラの吉田日出子の「私はチャルメラのファンです」というやつ。私など、あのＣＭを見るたび「もういい、わかったよ」という気持ちになる。浅野ゆう子や浅野温子の出てるＣＭなども軒並みそうだ。企業はすでに出来あがったタレントのイメージに安心して便乗し、タレントのほうにしても何がしかの商品を手にしてはいてもプロモーションビデオみたいなもんだという、安易でつまらない構造だ。
　そこにきて９０年年末の邦衛のスパークだ。田中邦衛ほど「型」のはっきりしている人も珍しいにもかかわらず、敢えて邦衛はそれを踏襲しない。訳がわからないほどヘンな言い方で「食べる前に飲む！！」と叫ぶ。これは自己の破壊である。が、崩れた型の中から出て来たのはやっばり田中邦衛だ。自分の型を真似しなくても自分は自分である、という単純な真理を、田中邦衛は体現しているのだ。（『宣伝会議』91年2月号）

<<<1994

<<<1995

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【参考文献】

ナンシー関
『何様のつもり』

<<<ボン研究所
<<<世界文化社

1990年漢方その他のＣＭ

■川辺で（1990年2月頃～）
川辺の岩にたたずむ邦衛→川の水で顔を洗う→水を天にかざす→ナレーション→商品の説明→邦衛の締め

■海の男（1990年6月頃～）
巨大なパラソルを担いで邦衛登場→胃腸への警告→「…ごめん」と謝る邦衛→商品の説明→邦衛の一言

■森の木陰で（1990年9月頃～）
ハンモックに揺られる邦衛→邦衛のコメント→商品のナレーション→邦衛の締め

【1990年の出来事】
1/16…勝新太郎、大麻所持容疑で逮捕
1/18…長崎市長銃撃
・いか天
2/11…南アでマンデラ解放
2/11…タイソンKO負け
3/15…ソ連初代大統領にゴルバチョフ
3/20…公定歩合1％上げ
・1ドル＝150円台
3/22…東証3万を割る。円・株・債券トリプル安
3/23…ソ連、リトアニア侵攻
・大阪花博
4/23…金丸信「北方2島、金で買ってもいい」と発言
4/26…日本外相、朝鮮支配を「侵略」と認める
5/27…ミャンマー総選挙でスー・チー圧勝
5/29…ロシア最高会議議長にエリツィン
6/9…チェコで44年ぶりに自由選挙
6/10…ペルー大統領にフジモリ
6/21…イランで大地震5万人死亡
6/29…秋篠宮・紀子結婚
7/6…兵庫県立高塚高校校門圧死事件
・湾岸危機
9/12…東西両独と戦勝４カ国統一最終調印
9/14…大阪で69日連続真夏日
9/29…世界子供サミット
・野茂英雄、投手部門4冠、MVP＆新人王
10/1…東証一時2万円割れ
10/3…ドイツ統一
10/3～6…西成暴動
10/15…ゴルバチョフにノーベル平和賞
11/12…天皇即位の礼
11/22…サッチャー英首相辞任
・日本の景気急減速
12/2…秋山豊寛、初の日本人宇宙飛行

【文化】
流行語「あげまん」、人面魚ブーム、おどるポンポコリン、「11PM」終了

パンツの中にコカイン！

2人の結婚に、皇太子の結婚にも期待が高まった

錦鯉の品種改良に失敗したというのが人面魚の真相らしい

人面魚危篤の様子を連日に渡り東京スポーツが報道

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